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zoom RSS ネアンデルタール人は鎮痛剤を使用していた?

<<   作成日時 : 2017/03/25 17:30   >>

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Web版のナショナルジオグラフィックを見ていたら、興味深い記事を見つけた。それは、
「ネアンデルタール人が鎮痛剤、歯石分析で検出」
という記事だ(AFPBB Newsでも同じような記事を見つけた)。
それによると、

ベルギーとスペインで発見されたネアンデルタール人の化石に付着していた歯石から研究者たちが採取した動物と植物と細菌のDNAを抽出して分析したところ、興味深い結果が得られたという。
まずは、ネアンデルタール人の食生活についてだが、ベルギーのネアンデルタール人の歯石からは、野生のヒツジとケブカサイ(1万年ほど前に絶滅したサイの仲間で、マンモスとともに氷河期を代表する動物)のDNAが確認され、彼らの食生活が肉食に偏っていたことが示された。一方のスペインのネアンデルタール人の歯石からは、コケや松の実、キノコなどが確認され、彼らが菜食中心の食生活を送っていたことがわかった。

次に、微生物に関してはだが、これについてはさらに興味深い結果が得られたという。オーストラリアのアデレード大学の研究チームは、ネアンデルタール人の歯石のマイクロバイオーム(体内などの特定の環境にいる微生物のまとまり)からDNAを抽出したところ、彼らがどんな病気にかかり、どんな薬で治療していたかがわかったという。
例えば、スペインのエル・シドロン洞窟で暮らしていたネアンデルタール人の個体からは、歯周病の病原菌が見つかった(ナショナルギオグラッフィックの記事によると、Methanobrevibacter oralisという古細菌の亜種)。さらにポプラのDNAも見つかっていて、これは、ポプラがサリチル酸(アスピリンの有効成分)を含んでいるため、おそらく鎮痛作用を求めて採取していたのだろいうと推測されている。
また、下痢と吐き気の病原菌(Enterocytozoon bieneusi)も見つかっているが、それと同時に、アオカビの一種のDNAも見つかっていて、治療のための抗生物質の素として摂取していた可能性があるという。
世界初の抗生物質は、1928年に英国の細菌学者アレキサンダー・フレミングによって発見されたが、それより4万年以上も前に、ネアンデルタール人は薬用植物の持つ抗炎症作用や鎮痛作用を知っていて、自己治療を行なっていたと考えられるのだ。

古代人の歯石を調べて、彼らの暮らしについての手がかりにするというアイデアこれが初めてではなく、実は何十年も前からあったようだ(今回の論文の共著者の一人は1980年代からこの手法に取り組んでいたようだ)。しかし、古代人の歯石に隠された秘密をしっかりと読み取れるようになったのは、強力な顕微鏡検査手法と、遺伝学的な分析が正確にできるようになったことが大きい。

実は、今回の研究結果にあるような、ネアンデルタール人が肉も野菜も食べ、薬草を病気の治療に利用していたことは自体は新しい発見ではなく、今回の結果は、以前からわかっていたことが改めて確認されただけだという。
では、今回の研究結果の本当の新発見はなんだったのかというと、肉食系のネアンデルタール人と草食系のネアンデルタール人ではマイクロバイオームは違っていて、現代人のそれとも異なっていることだとそうだ。そしてこの違いはそれぞれのグループが食べていたものの違いによるものかもしれないという。

ただし、ネアンデルタール人はともかくとして、現代人に関して、食べ物でマイクロバイオームがどう変わるか調べるのは、非常に難しそうだ。何百万人に何ヶ月も同じ食べ物を食べ続けて協力してもらわなければならないし。しかし、1カ所に定住し、そこで手に入れられるだけの食物を摂取していたネアンデルタール人のを基準にすることで、何がマイクロバイオームを変えたのかがわかるという。つまり、マイクロバイオームを研究することで、食生活の変化が人間社会にどのような影響を与えたのか、さらには食生活がもたらす問題の対処法を見つけるのに役立てられると期待されている。

研究チームはさらに、歯周病を引き起こした古細菌Methanobrevibacterの亜種の全ゲノムの塩基配列を決定したという(これは配列が明らかになった微生物のゲノムでは最古のものだそうだ)。分析の結果、今回のネアンデルタール人にいたこの細菌は約12万5000年前に生じたものであることがわかったそうで、この時代は、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が交雑していたと考えられている時期だという。

この細菌は唾液の交換で人から人に伝えられることがわかっていて、このことから、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は唾液の交換を伴う接触をしていたことを示唆している。口腔内の微生物は、キスをしたり(まぁ、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は交雑していたくらいだから、キスぐらいもしたんだろうな、なんてことを想像してしまうけど…)、食べ物を分け合ったりすることで伝えられる。つまり、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は仲良く暮らしていた根拠の一つになると考えらるという。これは、ネアンデルタール人が原始的で凶暴で、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の交雑が暴力的に行われたという従来の考えを覆すことにもなるのだ(そういえば、昔読んだヒトとネアンデルタール人を描いた本も、ネアンデルタール人を凶暴な原始人のように描いていたような気がする。何年も前のことなので記憶が曖昧だけど…)。

何はともあれ、歯石に残されたたった細菌を調べることでこれだけのことがわかるというのは、驚くべきことだ。その当時は、現代のような歯石の原因になる歯垢を取り除く歯磨き粉なんかなかった。もし、彼らが食後にきちんと歯磨きをしていたら、今回の研究で示されたことはわからなかったかもしれない。


関連記事はこちら。
ナショナルジオグラフィック:
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/031000092/
AFPBB News:
http://www.afpbb.com/articles/-/3120730
ベルギー王立自然科学研究所の記事:
https://www.naturalsciences.be/en/news/item/6679/
Natureの論文(概要):
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21674.html

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